・「葬送」1~5(続)
葬儀会社で働く30歳目前の女主人公。
イラストレーターを目指しながら、結婚もせず、実家でフラフラしている彼女は、妹の子供を預かることになる。
「す●る文学賞」2次通過作。2006年3月。原稿用紙140枚。
長いので、Web上で読むとイライラする可能性大。
(※タイトルは変えてあります)・「水やり当番」1~4<完結>
朝顔の水やり当番を通して、少年達は友情を育む。夏の風景。
某・競作祭参加作。2004年。
・「情」1~2<完結>
サスペンス・昼ドラ系。
某・競作祭参加作 part2。2005年。
・「明日買い」1~3<完結>
客の「明日」を買って、「昨日」を売る〈明日買い〉に出会った少年の話。
某・携帯電話小説の賞に出した作品。2005年。
・「世紀末四畳半」1~3<完結>
某・携帯電話小説の賞に出そうとしてボツにした作品。2005年。
女流っぽい恋愛小説に初チャレンジして、派手に間違えた作品。
・「SS」 小説とも言えない、小ネタをひっくるめて「SS」と呼んでいます。
・「夢日記」 寝ている時に見た夢の記録。
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- 2007/03/03(土) 14:40:05|
- 各作品の解説
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三
ヒロを幼稚園へ送り届け、その足で仕事へ向かった。電車が地下に潜り、自分の姿がドアガラスに浮かび上がる。はっきり言って、ひどすぎる。眉毛が薄く消えかかってるのもアレだが、右側に固まって跳ねている寝癖は耐えられない。
これというのも、ヒロの弁当のせいだった。幼稚園には弁当が必要だということを、私はすっかり忘れていた。結局、朝から近所のコンビニに走り、三八〇円のコンビニ弁当をヒロの弁当箱に詰め替え、「愛がこもってへんなぁ」と愚痴るヒロに、「明日、もう一回チャンスを下さい」と謝ると、「あしたは土曜日やから、弁当はいらん日やねん。……百合ちゃん、あのな。もうちょっと、考えてから喋りぃや」と諭された。本当に一体、誰がこんな言葉をヒロに使っているのかと思う。
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- 2007/03/03(土) 14:39:28|
- 長編「葬送」
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夜九時を過ぎても、ヒロは自分にあてがわれた寝室と、私の部屋を行ったり来たりしていた。
見かねた父が、ヒロに向かって、「おじいちゃんと一緒に寝よか」と言ったが、「煙草のにおいするから、嫌や」と、見事に振られていた。母なら、上手く寝かしつけられただろうが、「今晩、会のお講があるから」と言って、夕方に帰ってしまっていた。
今まで、ヒロがこの家に泊まる時は、必ず千紗子がいた。一人での外泊は、これが最初なのかもしれない。不安なんだろう。そう気づいたものの、どうして良いか分からず、私は落ち着きのないヒロを、見て見ぬふりをしていた。
パジャマ姿のヒロは、パソコンでメールを打つ私を横からじっと眺めた後、本棚からイラスト資料用の動物図鑑を抜き、いきなり音読しはじめた。
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- 2007/01/28(日) 16:50:15|
- 長編「葬送」
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重い疲労を腕に感じて居間に入ると、即座に、「線香臭い!」と声が飛んできた。
限界まで膨らみきった腹部を突き出すようにして、妹の千紗子がソファに寝ころんでいる。何度見ても、妊婦の姿は見慣れない。何というか、壊れやすい宇宙人のように思えて、妙にどぎまぎしてしまう。
カーペットの上には、中身をぶちまけたスポーツバッグが転がっている。入院に持っていくのだろう。見ると、タオルやファッション雑誌に紛れて、紋のついたお守りや数珠、『日々のおつとめ』と銘打たれた分厚い冊子も散らばっている。間違いなく、母の仕業だ。千紗子のことを思って持ってきたんだろうが、どうも母はいつも、あと一歩の思いやりが足りない。自分が「良い」と思っていることは、全世界の誰にとっても良いものだと信じて疑わないフシがある。
コートを脱ぎ、換気扇を回す。セーターの袖に鼻をつけて嗅いでみると、確かに、抹香の匂いが付いているような気がした。
千紗子の前にあるテレビは、古いサスペンスドラマの再放送を映している。派手はスーツを着た眉毛の太い女優が、岸壁で刑事役に追いつめられているところだ。画面いっぱいに、バブリーな昭和の匂いが充満している。
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- 2006/10/03(火) 00:09:12|
- 長編「葬送」
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奈良裕明『小説を書くための基礎メソッド』「面白く読んでもらうには、どうすれば良いか」に基準がある本。
<推敲チェック項目>は、参考になります。
(いつも〆切ギリギリに仕上げるので、ぜんぜん生かせてませんが)
<飾る>は、今読むと、自分の弱点はココだなぁ。と思いますね。
ちなみに、カート・ヴォネガットの提唱した「シンデレラ曲線」を初めて知ったのは、この本です。
以下は、重要だと思った箇所。
またの名を、自分用メモ
<おもしろさとは>・身につまされる(シリアス・純文学)
・我を忘れる(エンタメ系)
<小説とは何か>・行ったりきたりをしないといけない。
愛←→憎
心の動き←→体の動き
自己←→他者
個人←→社会
…これがないと、「独り言で終わっている小説」になる
・小説には「問い」が必要。
書いたものを読者にさしだし、「どうですか?」と問いかける
<構成><カート・ヴォネガット>
・シンデレラ曲線
1)スタート 2)不幸 3)幸運 4)いきなり不幸 5)ハッピーエンド
<飾る>自分の文章をずらす
副詞・形容詞→慣用語→自分なりに。
ずらし方を工夫する。
小道具を使う。
小道具の役割は「主人公・登場人物の特長をはっきりさせ、読み手へ強烈に印象づけること」
なぜ、このような細々とした部分にこだわる必要があるのか?
「物を書くことで、心の様子を伝えるため」
心の動き←→物・体の動き……これが描写。
五感。
ペンが止まってしまったときは、まず
目を閉じ、作品の中へ入っていく。
登場人物と自分を重ね、一体になってみる
「五感」を駆使する。
<推敲のチェック項目>・不要な文字・文章を削る
・足りない文字・文章を補う
・すでに書かれた文字・文章を、別の言葉に変える。
・書かれた文字・文章を、別の位置に移動させる。
「書くとき主観・読み直すとき客観」
1)時間を空ける
2)音読する
3)無駄な言葉、フレーズを削る
4)語尾の「時」をはっきりさせる。
現在形…U「臨場感」過去形…した「基本」大過去…だった。だったのだ
5)接続詞(つなぎ)のリズム。
「てにおは」「の・も・と・が」がくどくないか。
6)語尾のリズムは大丈夫か。
※
基本的に語尾が過去形…「~した。」で終わる文章のかたまり。その地の部分で、
「今・今日・今朝・今夜・ここ・この・これ」が出てきたら要注意。
まずその言葉が削除できないか考える。
↓駄目な場合、
今→その時
今日→その日
今朝→その朝
今夜→その夜
ここ→そこ
この→その
これ→それ
なぜかこう書くか?=「今」が混乱するから
例外)誰かが発言している(「 」でくくれる)と誰かが想像・思索しているとき(( )でくくれる)は、常に「今」だから使うことができる。
※「以前は」はなるべく使わない。不親切。だいたいどれくらいかを、はっきり提示してあげる。
※「今」はいつなのか、常に心に留めて書くこと!
<箱書き>箱には、
場所:
時間:
登場人物:
出来事:
主なセリフ:
を入れる。
全ての場面を書き終えたら、横一列に並べ、推敲とリライトを繰り返す。
↓
こうすることにより、「妄想」が「構想」になる。
<プロット>物語を考える際の振り出し。どうやってプロットへ発展させていくか
1)初めにストーリーありきの場合。
何となくストーリーができている場合。
・ふさわしい場所はどこなのかを考える
・出来事に遭遇する「登場人物」は誰がふさわしいのかを考える。
・主人公をその出来事に遭遇させるためには導き手として、どんな人物が他に必要なのかを考える。
・出来事と出来事がうまくつながっているか、強引すぎないか、ふたつの間に新たにもうひとつ別のできごとをはさんだ方がよいのではないか。
2)キャラクターありきの場合。
・その登場人物が最もイキイキと動く・動かしたい「場所・場面」を考える。その場所へ主人公を導くにはどんな「出来事」と「人物」が必要か。
3)シーンありきの場合。
・そのシーンが物語の「はじまり」である場合、その場所にふさわしい(逆にふさわしくない)人物を置いてみる。そしてその場で、その人物になりきった気持ちで、どう考えて行動するかを考えてみる
・それが「終わり」である場合、なぜ彼・彼女がそこへ辿り着いたのかを想像する。逆行。
・始まりか終わりかわからない場合、前後にのばして考えてみる。
4)キメセリフありきの場合。
そのセリフを述べるのに、誰がふさわしいかを考え、2)のキャラクターありきへ繋がる。
テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学
- 2006/09/24(日) 11:47:25|
- 執筆覚え書き
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