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三昧箱

小説・文章などを置いています。迷走中。

世紀末四畳半3〈完結〉

 外で食べた蕎麦は、このまま地獄に堕ちてもいいってほど美味しかった。私は今日食べた蕎麦の味を一生忘れないし、一緒に食べた人間も忘れないだろう。……たぶん。

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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/05/15(月) 10:20:01|
  2. 短編「世紀末四畳半」
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世紀末四畳半2

 アルコールで定まらない視線を蝿のように旋回させ、谷本っちゃんの本へ着陸させる。
 本の背表紙には『学校教育と学びの意味』と書いてある。正月休みが終われば、大学ではすぐに後期試験が始まるらしい。
「谷本っちゃんてさー、いつも背後に、六十年代グループ・サウンズが流れてる感じがするよねぇ」
「独身貴族のくせに、好んで四畳半に住んでる貴理子さんの方が、俺なんかより、よっぽどセピア色ですよ」
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テーマ:創作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/05/14(日) 01:03:43|
  2. 短編「世紀末四畳半」
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世紀末四畳半1

 七の月が過ぎ、八月になって、九、十、十一月と終わったのに、恐怖の大王は来なかった。
 そして、ついに明日、一九九九年が終わってしまう。地球上の生命を一掃するような核戦争も隕石の衝突もなく、すべて世はこともなし。
 少し残っていたカップ酒を飲み干し、コタツに足を突っ込んだまま、私は体をくの字に折り曲げて後ろへ倒れた。狭い四畳半にコタツなんか置いてるので、そのまま倒れると壁で後頭部を強打するのだ。
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テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2006/05/13(土) 11:41:32|
  2. 短編「世紀末四畳半」
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